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2006/04/25(火)
バンちゃんのオペラ座の怪人2
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http://www.youtube.com/watch?v=jvX26eHF4jc&search=antonio%20banderas
↑を偶然見つけたと先日の日記に書きました。
で・・・あれから、連日私はこれを繰り返し繰り返し見ておりました。
なんでか・・・。
バンデラス扮する「ファントム」が黒づくめの衣装で現れる。 オペラ座の怪人本編ではファントムは自らを「音楽の天使である」と名乗るらしいですが、バンデラスの「ファントム」は「天使」どころか「ファスト」を惑わせる「メフィストフェレス」のような強烈な魅力を放った「悪魔」のよう。
その悪魔が主人公の女性の前に現れて・・・ 「誘惑」する・・・
というには表情がどうしても違う。
わたしは絵描きなのでどうしても「観察」「分析」をしてしまうんですが、バンデラスの表情は「単なる異性にたいする誘惑」とは違うかんじがする。
そして、彼が無意識か、意識的に演技しているのかわからないのですが、時々女性を見つめながら「小首をかしげるしぐさ」をする。
これがどうしても解らなかった。
で・・・何度も何度もビデオクリップを見ていました。 彼はなんでああした演技をしたんだろうか・・・と。
で・・・やっとハッとしました。
以下これは私の解釈です。
歌の歌詞のなかに「オペラ座のファントム(幻影)は貴方の心の中にいるのだ」と何回もバンデラスは歌います。 そう・・・ファントムは彼女自身が作り上げた幻影。 そしてその幻影の正体は
「虚栄心」
アーティストが一度は誘惑される一番の魔物。
ファントムは純粋な彼女のもとにもやってきて、 「お前の中にもあるはずだ。さあそれに気づけ。そしてその虚栄心を満たそうじゃないか。」 と近づいてくる。
しかし、彼女はバンデラスとは一度も視線を合わそうとしない。
ファントムであるバンデラスは最高の魅力をちらつかせて彼女の周りをぐるぐると歩く。
しかしながら、彼女はそれを拒絶する。というか・・・バンデラスの気配は感じてはいるが、明確に彼の姿を捉えて「誘惑と戦う」わけではない。
バンデラスは小首をかしげる・・・。
「何故だ?何故私を見ようとしないのだ?皆私(虚栄心の象徴としての存在)を一目見るなり虜になるのに・・・」
そう・・・彼は自信満々なのに彼女は彼を見ようとしない。 そのことに彼は小首をかしげる。
「何故私の魅力が通じないのか。」
そしてエンディング・・・ 彼は今度ははっきりと右に小首をかしげ両手をわずかに広げて 彼女を誘うポ−ズをとる。
そして
「さあ歌えわたしの天使よ。」と何度も叫ぶ。
その言葉に応えるかのように彼女の声はどんどん高音になっていく
ラスト 「私のために歌え!!」 と叫ぶバンデラス。
「私」とはすなわち「虚栄心」
「さあ虚栄心のために歌え!!」 悪魔はそう叫んで去っていく。
彼女は果たして「自らの力を誇示するため」に最高音を奏でただろうか。
歌とビデオはそこで終わる。
彼女が自己の虚栄心のために歌ったとき・・・彼女は文字通り「舞台の奈落」に落ちる。
権威の伴う場所に必ず潜む「魔物」。そしてその魔物は必ず誰の心の中にもいて、お互いが出会って利害が一致したときに魔物の力は増幅する。
バンデラスはたった一曲の間に「心のなかの闇」を演じきっていたきがしました。
ぞっとして
すばらしい。
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