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2007/06/27(水)
波にうさぎ
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扇子のご依頼をうけて・・・・イメ-ジをふくらませるために「能」の「竹生島」の「謡本」を読み返しておりました。
時は延喜、醍醐天皇の御世・・・一人の大臣が、わざわざ「休暇」をとって琵琶湖にある「竹生島弁才天」に祈願にやってくる。 というだけの話なんですが・・・。
わざわざ「休暇」をとって「良い御世になるように」祈願にくるわけですから、きっと、この大臣は何か政治的派閥の中でうんざりするようなことがあって気分転換もかねてやってきたのだろうなぁ・・・と思ってみたり。
情景は春の夜更け。 一艘の漁夫の小船がやってくる。そして・・・その小船に乗せてもらう。まさに「渡りに船」。
「浦を隔てていくほどに。竹生島も見えたりや。緑樹影沈んで 魚 木に上る気色あり。月 海上に浮かんでは兎も波を走るか 面白の島の景色や・・・」
という叙情あふれるシ-ン。
春の夜更けに小船で・・・ぎしぎし・・・と櫂の音とわずかな水の音。 ちょっと怖いかんじもしますけれど 何か「あの世」とも「この世」ともつかない不思議な時間。
琵琶湖の水面に移る、竹生島の樹木の陰が、湖に写って、そこに琵琶湖の魚影がかさなって見えると「まるで木に魚が登っているよう・・・」にみえて面白い・・・・ やはり琵琶湖の水面に月が写れば、「月の中の兎がそのまま波の上を走るように見えて」また面白い・・・・
春の宵の水鏡に映る景色。
後シテには竜神、弁財天女も登場して無事終焉。
残念ながら「能」の演目としては見たことがありません。 でも大好きなスト-リ-の一つです。
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