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2008/08/29(金)
MY BANJO STORY その5
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1925 GIBSON TB-4 (1981-91)
1980年に渡米を果たしました。 「渡米」当時はこんな言い方をしていましたね。 今なら「アメリカに行って来るわ」「アッそう気いつけて行ってきいや」そんなのりなのですが、 「アメリカに行ってくるわ」と言うと、「エッ!無事に生きて帰ってきいや、これ餞別渡すわ」と、 我々の親の年代にすれば命がけのことだったようです。 まあ戦争体験者にすれば、「敵国米軍」が頭から離れなかったのでしょうね。
この旅行は楽器屋を巡り、あこがれの戦前のギブソンマスタートーンに出会う旅でもありました。 「アメリカに行ってもないよ」と言われていたものの、「何かあるやろ」と思いつつ西海岸の楽器屋を巡りました。
そして出会ったのが、バークレイの楽器屋5th Stringにあった、まだ調整中の1925年製ギブソンTB-4です。 TBとは、四弦のテナーバンジョーのことで、当時はデキシーランドジャズに使われていたテナーバンジョーが全盛で、 5弦バンジョーは殆ど生産されず、5弦プレイヤーは5弦にネックを改造して使用しています。 帰国してから送ってあげる、との口約束をして帰ったのですが、 あこがれのマスタートーンに出会った感動は今も忘れません。
帰国してから楽器屋に手紙を出し、何回かやりとりをするのですが、いきなり数十万円の現金を送って 商品が届かなかったらどうする・・・との不安感から、結局商品が届くまで6ヶ月を要してしまいました。
やっと届いた憧れのマスタートーンは今まで聞いたことがないような、甘く深い音、 「ああこれが探し求めていたバンジョーや」と悦に浸る毎日を過ごしていました。
1925年製ギブソンTB-4、ボールベアリング式トーンリング着装。 ごく初期のトーンリングシステムで、あまり人気のない機種なのですが、 55年を経た楽器には何とも云えない「大人の味」が備わっていました。
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