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2006/07/15(土)
現実を、見る
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自分がまだ大学生のときの話。
その日は英語の講義があるので、
かばんに辞書を入れ意気揚々と出掛けた。
途中喉が渇いたのでCCレモンを買った。
うん、うまい。
そう思いながらも、まだ残ってる
CCレモンをかばんに入れた。
もうそろそろ授業が始まるからだ。
僕はジュースの余韻もそこそこに 急いで校舎に駆けて行った。
自分のとってた英語の講義は単純明快だ。
辞書さえ持ってきておけば何も困ることは無いくらい 文字通りテキスト通りの授業内容。
そんなわけで出席さえしておけば単位は取ったも同然で、
逆をいえば出席しておかないと他で稼ぐところは無い。
遅刻するのもあまり良い印象を持たない教諭だったため、
遅れないよう僕は自然と足速になった。
おかげで講義に間に合い、
先にいた友達に挨拶をしながら席につく。
教諭は前の時間も同じ教室で英語の授業を行っていたからか
始まる前からすでに教卓にいた。
講義開始時間になるとともに
大した間をとるわけでもなく、
世間話をするわけでもなく
教鞭をとる教諭。
つまらない。
ほんとテキスト通りだな。
刺激が感じられない授業に
開始早々飽きを感じながらも、
かばんから教科書と辞書を取り出し準備を始める。
が、
?
違和感。
何かおかしい。普通ならば感じ得ない感覚。
これは…
しばらく固まる。
そんな気配を感じ取ってか、
僕の辞書を覗く友達。
そして、笑い声。
友達「どうしたの?その辞書(笑)」
そう、僕が固まったまま手にしていたもの。
それは、
こんな晴れた日に似つかわしくないくらい、
びっしょびしょな辞書。 (び書)
というか、CCレモンあえな辞書を。
ありえない。
ただ、現実が信じきれなくて、おもむろにかばんを開け散らかす。
出てくるのは皆、
CCレモンあえ。
イッツレモンパラダイス。
わぁ。
力を出し尽くし、ほぼ空になって出てきたペットボトルが僕を現実へ引き戻す。
気分は尿意をトイレまで我慢できず、その場でハジケた小学生。
その後しばらくやまないクスクス笑いを残しながらも、
授業は何事もなかったかのように落ち着きを取り戻していった。
最終的に残ったものは
せつない思いと、
黄ばんでふやけたのち、 パリッパリに渇いて張り付いた辞書と教科書、
毎週毎週英語の授業になるたびに悪友から言われる、
「なぁなぁ、CCレモン貸して」
という屈辱的な 辞書 の借り方だった。
あなたがたがその手に持ってるきれいな辞書は何ですか?
イジメよくない。
そう思いながら、ずっと僕はCCレモン辞書を持ち歩いていた。(決して買い換えない)
…しかし、それも今となっては懐かしい思い出。
過去にとらわれず今を見るべきだろう。
そんな前向きで
かつ
現実に向かう強い意志を心に秘めながら、
今現在、
カルピスソーダまみれになったビジネスカバンと
中に入ってた大切な書類(カルピスの甘い香りつき)
を半泣きになりながら乾かしてます。
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