|
2005/08/08(月)
マッチ売りの少女
|
|
|
新宿の東口と南口の間、いわゆる東南口といわれる所に宝くじ売場が二つある。僕はよくその前を通るのだが、アルタ側の売場に「マッチ売りの少女」がいる。まあ宝くじ売場な訳だから、もちろんマッチでは無く宝くじを売っているし、少女でもない。おばさんとも言えないほど腰は曲がってしまっている。でもそこの前を通る度、僕の中ではどうしても「マッチ売りの少女」に見えてしまう。 「宝くじデス!」「サマージャンボデス!」朝から晩まで。「甲高い声」と書いて、皆さんが想像した音より約1オクターブ高い声で叫び続ける。「〜いかがですか?」ではなく「〜デス!」と言い切るのもなんだかドキッとする。 何故か分からないないけど、彼女のプライベートは何一つ知らないけど、とてもけなげに見える。「頑張って!」って言いたくなる。「もう戦争は終わったんだよ」とも言いたくなる。きっと僕の中だけで作り上げた彼女の抱えてる物が、僕の妄想なのであろう彼女の背負っている十字架が、僕の心を切なくする。そしてそれとその声に、僕は「マッチ売りの少女」をダブらせてしまうんだろう。 先日いつもの様にその前を通ったら、彼女が初めて僕に直接「宝くじいかがですか?」と声をかけてくれた。僕はこう応えた。 「僕、賭け事しないっす」まるで彼女の燈していたマッチの火を、おもいっきり吹き消したような気分だった。 でもしないから仕方が無い。 しばらくは遠回りして歩こう。
追伸 母さん麻雀だけは付き合いでたしなみます。 ・・・もちろんお金は賭けません。
|
|
|