たっちんの素通り青春日記
三十路からの青春の日々。
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2005/09/08(木) 心の痴漢
 癖みたいなものですが・・・

僕は電車に乗るときは、基本的に扉の前に立ちます。
得に夜。

人を観察するのが好きなので、キヨロキョロしたいのです。
でも、電車の中はさすがに距離が近くて、すぐ目が合ってしまうので、女の人に好きだと思われます。男の人であっても好きだと思われます。

なので、扉のガラスを鏡代わりにして、ガラス越しに皆を見るのです。
僕は電車の中の人を見てる訳ですが、周りからは夜の東京が好きなたそがれロマンチストに見えるって寸法です。

その癖に関しては、
高校の時、同じバスで通う女の子が好きになり、声をかけられずにいて、半年間バスの窓ガラス越しに映る後姿を眺めることしかできなかったという、実際たそがれロマンチックなエピソードがあるんですが・・・それはまた、そのうちということで。


今日も電車で新宿に向かう途中、いつものように扉のガラス越しに人を眺めていると、一人の男性が目に入ってきました。

年は30台半ば、細身の体で、上下デニムに革のベスト、何か専門的なものが入ってそうな革のポーチ。
脇には書類のようなものを抱えている。

たいして人も乗ってないのに、僕の真後ろ、そして通路のど真ん中に立っている大胆さかつ違和感に、僕は彼を観察せずにはいられなくなったのです。

気になるー・・・職業。

僕の観察が始まりました。
あのポーチには何が入ってるか・・・
サラリーマンには見えないし、きっと何か職人チックな人に違いない・・・
抱えてるのは何の書類だろうか・・・

しばらくガラス越しに見ていると、彼は抱えていた書類をおもむろに開き出したのです。
そして謎のポーチから割とありふれた鉛筆を取り出すと、何かメモをし出しました。

たまに、何かを思い出すかのように僕のいる前方を向いて、また書き込む。
それを繰り返しているのです。

気になるー!
何書いてるのか気になるー!
後ろ向いて、さりげなく覗いちゃおうかな?

そんなことを考えてるうちに彼のペンのスピードが上がってきて。
ものすごく早く細かく動かすと思えば、紙いっぱいにペンを動かしてみたり・・・
まるで絵を描いているようで・・・
僕を見る回数も増えてきて・・・

・・・・・・

・・・僕を見ている?・・・

しっ!!しまったー!!!
でっ!デッサンされている!!

僕はおそらく画家であろう男に、電車の中で後姿をこっそりデッサンされていたのです!

いや、こっそりでは無い。
僕が気づいた頃には、周りの乗客は彼とそのモデル(僕)に釘付けになっていたのです。

何たる不覚!
自分が観察してると思いきや、逆に観察されていたのです。
しかも、今や車両中が僕を観察しているのです。

僕はもうピクリとも動けませんでした。
もう観客と化した乗客の目線が、僕の手足を掴んで放さないのです。
観客を味方につけた男は、もう何も躊躇することなく二枚目のデッサンを始めました。

たすけて・・・

もうこれは痴漢です。精神的な痴漢です。

せめてもの抵抗を見せなくては・・・
僕は勇気を振り絞って抵抗しました!

手すりを持っている右手の人差し指と中指を、そっと伸ばしたのです。
そして、心の中でそっと叫びました。

ぴっ・・・ピース・・・


「次はー中野、なかのーです。」

気づいたかどうかは分かりませんが、男はサッとペンをしまい込むと、スケッチブックを脇に抱え、扉が開くと同時に僕の真横を通り過ぎ、ホームの人ごみの中に消えてゆきました。

僕の横を通り過ぎる時、男は僕を見ませんでした。
僕も、彼を見れませんでした。
二人はガラス越しと、後姿でしかお互いを見てないのです。
だからなんだといわれると、「ロマンチックに聞こえるかなっと思って」としか言いようが無いですが・・・

それはさておき扉が閉まると、ホッとすると同時に、怒りがこみ上げてきたのです。

僕の後姿をどうするつもりだー!
お持ち帰って、何する気だー!

・・・ぬるきか?
色を塗る気かー!

そんなもやもやした気持ちの中、新宿に着いた僕は、「容疑者 室井慎次」を見ました。

きっと今夜は、本屋の店頭に置いてある僕の塗り絵を、ギバちゃんが買っていく、そんな夢を見るのでしょう。


・・・長々書いた割には変な終わり方に反省。


追伸  ばあちゃん、かかとは離れてもつま先は地面から離れない、あの幻のジャンプ。もう一度見てみたいです。


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