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2006/10/11(水)
ライブ その後 進路。三者三様。Y
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((ユウスケの場合))
ユウスケの家柄ってのは詳しく知らない。 当人はフツーって言ってたけどうやらちょと複雑らしい。 この辺りでもケッコウデケー家だったから、円満でハッピーって他人は勝手に想像するんだけどそんなのは世間の勝手な レッテルだなってマジ思う。
スニーカーを脱いで2階の自分の部屋へ戻るとユースケは すぐにパソコンの電源を入れてなにやら作業を始めた。
ユースケには夢があって、ちゃんとしたビジョンってヤツだ。 卒業後には実家でもトウキョウに出るでもいい。 音楽クリエーターのシゴトをするつもりだった。 サンプリングや作曲でMCやシンガーから依頼をもらい。 トキにはCMソングなど応募し。収入にするのだ。 ゆくゆくは自分もプレイしながら表舞台ってのも考えていて 今はその準備期間。タツヤとウメは気もあうしオモシロイ素材だと思っていた。
現在。クラブ通いでの知り合いや紹介で楽曲提供してるチームが3つ。どれかがビックネームになれば当然シゴトも増える。 18歳にしちゃしっかりし過ぎてるのも。 ホンの少しだけ複雑だけど音楽系のクリエーターのオヤジさんの影響もデカイ。今は音信不通なんだけど。
(ふぅ) パソコンデスクに置いた飲み物を口に含み一段落。 (次はと。。) 彼はまた違うソフトを立ち上げ、再びヘッドフォンをする。
((ドン パ チドン タン))小気味いいドラム音を鳴らしては キーボードで音を作っていく。
(あー。そうかハニーコーンとか合うなぁ) レコード棚からなれた手つきで選びだしターンテーブルにセットする。こうやって家にいる時間のほとんどを作曲などに費やしていた。
ふとサブのノートパソコンに目をやると新着メールが届いていた。開いてみると。。
((相沢祐介様。当社へのご応募ありがとうございました。 審査の結果、採用となりましたので追って電話連絡致します。つきましては。。))
(おっしゃ) 心で叫んだ。 派遣社員ながら内定通知、クリエーターでのシゴト、もちろん音楽、カンタンに言えば依頼された音の加工の派遣仕事だ。 場所は、、トウキョウ。
特別これがしたい仕事というわけでもなかったが大筋外れてはいないしなにより学ぶことが多い。メリットはいろいろとあった。
(、、これで決まったな。トウキョウだ) このコトを母親へ報告することは少し憂鬱であったがそれでも 自分の人生のことだ。俺は俺のやりたい道へ進む。
ユースケは部屋においてある自分専用の冷蔵庫から缶コーヒーをとり 窓を開けた。夕暮れの街並みは 静かになりつつあり 鈴虫の音が少しした。
(そうかぁ コレでココもお別れだなぁ) 当たり前のことだが、感傷に浸る。
(あとは、、と。)
(。。。と どう付き合っていけるかなぁ?)カノジョのことだ。
そこまで考えてみて、作業用のパソコンデスクに戻ろうとしたトキ。
今度は携帯メールが入ってきた。ウメからだ。
((なあ?進路って決めた?))
ウメにとってもユースケは相談役の兄貴分で。 しかし なんつータイミングだと少し可笑しくなった。
((おう、今決まったぞ。俺はトウキョウだ))
そう返信して携帯をベットへほおリ投げた。またタツヤも含めてミーティングがてらハナシをすればいいと思った。
今あるZERO−GK、、、0はZEROへ改名。 心機一転の意味も含め、、まだロクに活動もしてないけど。
(なるべくなら。。)
(アイツラ次第だな)
数秒でアタマを切り替え。ユースケはまた作業へと戻っていった。この日 完成したバックトラックは12月のもしかして最後になるかもしれないライブでやろう思っていた新曲で。
けれどきっとこの曲は息の長い曲になるんじゃないか? そんな予感がしていた。
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