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2006/10/21(土)
進路 三者三様 ウメの場合。前編。
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((なあ?進路って決めた?)) ((おう、今決まったぞ。俺はトウキョウだ)) ユースケからの返信を受けてウメは歩きながら画面を見ていた。
夕暮れの街。駅前のアーケード下っつてもたいした店とかもなく10代のガキにゃ退屈なトコロだ。ただコノ辺りをふらふらとウロいてると なんとなくトモダチに会う。その狭さが心地イイ。 ガキ街育ちでないウメにもそれはわかる気がしていた。
ウメ。日本生まれ オーストラリアとの行き来を何度も繰り返しているウチに両文化言語に精通。
現在 母方のバアちゃんと二人暮らし。オヤジオフクロは海外にでたままの超放任。オフクロの親元がなんでも田舎の名家ってヤツで。売ったら幾らすんだ?ていう骨董品がゴロゴロしている。生活するには苦労したことナイが、やっぱりいろいろあんじゃん?見た目も 目は青ががってるワケだし? 身長180 体重 85、、、まっそんな見た目もな。 ゴツイぞ?
(う〜ん ユースケはトウキョウかぁ) 漠然と歩きながら ウメは考えていた。自転車で過ぎるオバちゃんや会社帰りの見るからに疲れてそうなスーツ、、
(う〜ん?) (というか 俺そんなにイカツイ?) 迷彩の軍パンにバンダナ。オモチャ屋と文房具屋が並ぶような 商店街には確かに浮く存在である。通りすぎる人達が誰一人として近寄ろう、とはしなかった。そんなもんだろう。
(進路 進路。んー) 意外にも料理が得意なウメは漠然とであるが卒業後はコックになるっていう希望もあった。 けれど。やっぱり まだピンとはこなかった。親から仕送りされる 金銭のオカゲで生活への切迫感がないのも理由の一つだ。
(俺は。。) なにがしたいんだろう?
<ウッメちゃーん!☆>突然ウシロから呼ばれる。 振り向くと カズミだった。ガッコ帰りそのままトモダチとふらついてたみたいだ。冬服のブレザーの袖をまくって シェイク片手に 駆け寄ってくる。トモダチはえーと。。誰だっけか?
<ウメちゃんナニしてんの?>屈託なく笑顔のカズミ。
ウメはトモダチの方に軽く会釈。<ドモ>
<んーー?なーんとなくー?>それは本当だった。 誰とも会う約束のない金曜に部屋で一人でいるなんてのはもったいない気がしていた。
<タツヤとかは?>
<今日は会ってねー> ウメとカズミ。カズヤとユウスケが中学からの知り合いでその絡みでこの二人も まぁトモダチだ。
先にカズミのトモダチが口を挟む。 <カズミ。それじゃ私行くね?またメールして!>
<ん はぁいー。またねアユミ バイバイ☆> そう言うと トモダチは来た方向へと向きを変え帰っていった。
もうそんな時間か。
<せっかくだから おチャしてく?> ウメが誘った。別に他意はない。つーかタツヤにコロされるわ!
<ハハ さっきマクったからいい、>
<んじゃ俺もジュース買お> ウメはサイフを取り出し 近くの自販機でコーラを買う。 ビルの3段しかない階段。会計事務所?もう締まってるからそこに座りこんだ。
ちょこんとカズミもスカートをまとめて 横に座る。
<カズミはさぁ?進路どーすんの?> 今 ビンゴな話題をぶつけてみた。
<えー。考えてないよぉ。まだ時間あるし。大学にはいかないつもり、ってか行くなら準備してる時期過ぎてるし?>
<はは。確かに。>
ウメは胸ポケットからタバコを取り出す。
<ウメちゃんは??>
<これがねぇ〜 俺決まってないのよ>
<んじゃおんなじだ♪> カズミはイタズラっぽくウメの横顔を覗く。
<ふぅ。ユウスケはトウキョウだってさ。音楽シゴトしたいっつってたし。> アーケード下を行き交う人達を眺めながら煙がカズミにかからないように上に吐く。
<ユースケ君、カシコそーだもんね?>
<おお?んじゃ俺はよ?>もちろん冗談っぽい受け答え。 ウメは少し 気がラクになった。。。気がした。
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