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2006/10/09(月)
ライブ その後 進路。前編。
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。。。金曜午後5時 ガキ駅前 マック内。俺 ユウスケ ウメのいつもの三人でミーティング兼ねたダベリ大会。 一応金曜の夜で私服なのでヨユーの喫煙。この年齢は見た目もビミョウなので注意もされない。 オトナはオトナで忙しいから悪ガキにゃ関りたかないべ?
<んで どーする?>
<どうするつってもなぁ>
こんなダベリのトキはユウスケから話題がふられることが多い。 今はダブルのチーズバーカーのウメを差し置いて俺はアイスコーヒーに手を伸ばした。水滴がついたカップは柔らかくなっていて マズメなコーヒーを更に増長している。
<場数だと思うぜ?トクにオマエラは> ライブのハナシである。初ライブ その後凹んだ俺らは いやウメと俺だな。各自でこれではダメだと スキルアップに躍起になっていた。ゆうすけはスクラッチのテクを差し置いてもこの世界の先輩に可愛がってもらって。楽曲提供してるほど音楽的には一歩いや かなりだな。一目置かれている存在だ。 そんなユウスケに言われるのは悔しい。
<ライブつーより スキルが足らねー。。> 俺は言葉少なに答えた。
<だからライブやんじゃん!>ユウスケが声を荒げる。 ウメはようやくハンバーガーが一段落して 次は。。コーラのフタを外し始めながら会話に加わる。
<でもね?タツヤは日本語 俺は英語。スタイルは確立してねーけど おもしれーとは思うんだ。>
ウメは10歳までオヤジさんの仕事の都合で日本とオーストラリアをいったりきたりしていて 日本語英語が同じぐらい流暢だ。 つーかハーフだしな。あんまりみえねーけど。
<スキルはまぁ レンシュやるしかねーよ?なぁタツヤ。> いつになく ウメの前向きさが俺に向けられる。
<おうよ>
。。。俺は表面は飄々と見えるらしいが内面はクヤシさと ウマクなりてーってキモチでいっぱいだった。ぶっちゃけあのライブ直後からな。あの翌日 当然ガッコは休んで目を覚ました俺は できる限りのスキルアップをする為 ウメとも打ち合わせをした。週3日の二人の練習。リリック書き溜め。 ライブをなるべく観にいきベンキョウ。。とにかくラップをした。 音楽を聴いていた。
俺とウメの確立したいスタイルは対照的で ウメはスピード感で早口でまくしたてるのを基本に メロウなラップを混ぜ。 俺はシャウトっぽい吐き出しは得意なんだけど リズムを基調にせず、メロディアスなスタイルを目指した。当然チカラ強くな。
、、フロウはリリックから生まれる。
ここに俺らは合致していた。だからまずリリックだ。 そしてフロウを反復させて 舌に記憶させる。 悔しいことにまだリズムどうこうっていうレベルじゃない。
<おまえらが言ってるのも分かるけどよー。ライブ組むのがイヤか?>
リーダー ユースケはあくまでチームとして機能していくのが最短だと主張する。まぁ 確かにそうかもしれんけどさ。
<ちなみに いつ?>
<12月8日 金曜オール、場所は ゼットオン>
<ゼットオン?ライブハウスじゃん>
<知り合いのイベントなんだよ。4〜5曲で>
こういったマネージメントはユウスケにお任せしている。 ゼットオンはライブハウスでウワサでしか聞いたことがない。 バンドと一緒にやるってハナシか?うるせー音はカンベン。 ラップもどきもな。
<バンドが4 HIPHOPが4のオール、後半がHIPHOPな。 東京からもゲストが来るらしい>
<うーん、。。>
俺は迷いがあった。単純にやりてー。けど。
<いいじゃん。やっとくべや?> ユースケにはトモダチのイベとあって断りずらい理由もあるのだろう。
<あ この間のRAYも出るぞ?>
<マジ??> 素早く反応したのはウメだ。 よほど気にいったらしい。まだインディでのリリースもしていないが 確かにあれはヤバかった。あのレコ屋で番号を交換したアト。
。・。。連絡は一度もしていない。
だってなぁ?理由ねーもん。ライブ観たいけど。単純に。
<おーRAYは来年 出すらしいぞ?> これは音源のことだ。彼女は1コ上。19歳。クラブじゃ充分な年齢でもある。
クラブで歌うシンガーの年齢層は幅広いがカネのなる木なタイプはとにかく早い。20過ぎそこらでリリース。ブレイクてのが珍しくないのが特徴だ。逆にMC達は遅いことが多い。 30越えてジモトで張ってんのも 俺にはキョウミない。 かといって プロになりたいとかはないんだけど。。
<どっから?>俺は知ったような口で聞いてみた。
<なんかクレイブかもって。。>
クレイブはクラブ系の大手のインディレーベルだが。
<ふ〜ん。> 俺はキョウミないっていうフリをした。 それどころじゃないしな俺。いつか俺も近いショウライ リリースパーティとかやんのかな?そんなイメージがフッっと浮かび。。 鳥肌が立った。(オモシレじゃん) こうワクワクする感じっていうか。、、ハラにグっとチカラが入る、
<で?やんの?やるけど。あ?> ユウスケは もう一度 2MCにフる。
ノルマのこともアタマ過ぎったけど。。
<んじゃ やるかぁ!> <おお!>
俺はウメに目で合図をし 意思表示をした。 それにウメも応えた。
マズメなコーヒーはまだ半分残っていて。ライブ決定という 一種 ハラをくくる感覚に俺は気合が入り。 テーブルのセッタに手をかけると 残しておいた最後の一本。。がない。。
<ユースケ 一本くれる?>
<はいはい>
ZIPPOで火を点けてもらい、瞬間オイルの匂いを嗅ぎ その後 セッタの いつもの匂いがした。
<あれ?>
<おう。マルメンなくてさ>
。。。そんな記憶がまだ残ってんだな。
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