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2006/11/14(火)
星空見上げるヨユーない秋 後編。
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1時間ぐらいは経ったろうか。作業は一段落し 出された珈琲 をうまそうに飲みながら トールさんはサンプリングしたばかりのベースラインをチェックしていた。
<うん いんじゃねーかな?> <そッスね。お疲れ様でしたぁー>
。。。ふう ようやく終了、充実した顔した二人に場違いで肩身が狭い。。
<あの。。トールさん。N市ですよね?> なんとなくであるが尋ねてみた。というかハナシのネタがない。 いきなし知り合いっぽく会話もできねーし フツー。
<ん?そーよ。こっからなら2時間かかんないよ、明日はまたライブだー> 相変わらず機嫌よさげに伸びをする。
<え どこでやるんスか?>
<明日はレイディズっていうクラブで自主イベだよ。ヒマなら来る?ゲスト出そか?>
レイディズはキャパ400ぐらいの大きめなクラブで夜はライブもたまにやっていて深夜はもちろんクラブらしく毎晩アッパーなイベを開催している。。。と 前にユースケが。。
<へーライブとかクラブでやんですね>
<おうよ。まぁ安いってのもあるけどね。明日は250は入るんじゃねーかな?>
そこまで聞いて聞きたいことがあったので俺はおそるおそる質問してみた。
<HIP SHOTはメジャーから降りたってホントですか?>
その質問にトールさんは少し答え方を思案した様に見え。
<。。うん。 降りた。金はとれるだけとったし これ以上は多分 ツブれる。の前に欲しかったノウハウ学べたからさ。>
こんな初対面のガキのたわごとに親身?に答えてくれたことに感謝した。その後 俺はセキを切ったように失礼ながらも多く質問させてもらった。その一つ一つにトキに茶化し。トキにマジに、トール節?で答えてくれた。
メジャー契約のこと。お金の廻り具合のこと。リリースペース。 ライブペース。
俺がメチャ 驚いたのはHIP SHOTは最初から降りるつもりで舞台に上がっていたこと。 ある程度の位置で意見できるとはいっても制限は多いということ。音楽業界の表と裏。本音と建前。大人の事情。
<まぁよ?やりたきゃメジャーの舞台もいいと思うぞ?>
他人ごとのように、。いや実際そうなのだがそうトールさんは言った。
<けど確かに 音楽的制限はシンドイですけど もっと売れてからでも良かったんじゃないスかね?>
。。。今思うと失礼きわまりない質問で 恥ずかしい。 けど俺にはこう聞くしか思いつかなかった。音楽で生活するってのは時代的にも厳しいとは聞いたことがある。HIP SHOTのメンバーも傍らにシゴトしてたりレーベルシゴトだったりしてるという。トールさんはそれ以外にもビジネスを抱えてそれがまたオモシレーって笑ってた。なんだこの人??不思議すぎる。。
<あのな?俺らがカッコイイって思えない方向性が売れるって思えねーじゃん?>
(!)
<活動も音の中身も薄めちゃいけねんだよ。その為に足かせをハズす必要があったのよ>
このトキ 思った。この人は音楽がホント好きでそれを純粋にオーガナイザー伝えたいんだ。。ただそれだけ。 長くプレイできる環境も欲しいとは以前に何か雑誌で読んだ気がする。
<はっは。まぁ 金が回せりゃ 自主リリースのがアガリでかいしな☆>
、、、トールさん アナタ 分からん。。
まぁそれでも この出会いは俺にとって重要で。 いろいろと勉強になった。最低限 都市にでればあとはやり方次第で。やり方も自由で。 音楽やるにゃ、環境で中身が左右される必要はないとも。
<出た音が全てだよ?>
。、。。まだ今の俺にゃ怖いセリフだ。
けれどこのトキ 俺もN市に行こうって決めた、、 HIP HOP環境が良いとされるN市。そこで始めてみるのも 悪くない。うん。なるほど。
ユースケにうまく乗せられた気がしたのが少し悔しいが乗ってやることにしよう。 トールさんをその後 見送って俺とユースケは打ち合わせを兼ねてもう少し サンプラーで音を出すことにした。 <タッツヤ。。>
<あん?>
<、、この曲 12月やるぞー>
<たりめーだ!>
俺らは別に進路のことをあえて口には出さなかった。 改めてプレイバックしても ドラムのタイトさに対して立体感がありまくる 浮いたベース。ユースケは混ぜかたを悩んでいたが なんとかするって豪語していた。コイツも不思議な存在だ、 音楽バカつーかよ?
。。。そうか俺もか。何か自分に気がついた。、 それは まるで
。。。あれ身長伸びてんじゃん?って思う 夏休みの半ばとか?
いい例え思いつかねー。。まぁいいや。
ともかく 良き出会いによって流れが見えてきた11月のはじまり。。ふと 俺はカズミはどーすんだろうって 今何してんだろうと、数秒 ノスタリジックな気分に浸ったところで その気分は モニターから出る、控えめなトラックでかき消された。
06もあと2ケ月 まだ星空見上げるヨユーの無かった秋の夜。。
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