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2006/07/09(日)
七夕記念。後編。
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。。。。どれぐらい経ったのだろう。7月の太陽さんはそろそろ 休憩の時間みたいだ。
<そろそろ休憩にしませんかぁ?>委員のシモベらしき 男子生徒が みんなに声をかける。
<、、、ッ君!ってば!>
カズミがウシロから僕の肩を叩いた。<ああ>
イヤホンで気がつかなった。
<休憩しようよ☆ 何か飲む?山森ちゃんのオゴリだって〜>
<あー いいね。コーヒー ブラックねー>
<了解〜!> カズミは敬礼のマネをして笑顔を見せ プール底を気にしながらプールサイドへ登っていった。
(ふう 一服してーなー)僕もそのあとに続き 数段しかない階段に手をかけた。
プールサイドへ上がると 飲み物の買出しに出たのか 誰もいなかった。
僕はようやく陽も陰ったコンクリートに座りこんだ。地面のコンクリートは 今日1日分の熱を充分に集めたみたいで 手をつくと その熱は懐かしい感覚になった。
カズミが ちょこんと 横に座る。
<疲れたね〜 はい コーヒー。> そう言うと カズミは 自販機で買ったコーヒーを僕に手渡した。
<さんきゅ!あれ あの自販機もう動いてた?> この学校のプールの出入り口には 珍しく 缶の自販機があった。毎年 夏時期だけ稼動する 不思議な存在だ。
<うん、昨日からみたいよ。ブラックはどうみても 去年のパーッケージだね〜 >
<げっ マジで?>
僕は缶の裏の日付けを確認しようとした。
<死にはせんよ♪ のう オヌシ?> カズミとの こういう会話は とても好きだった。今までもいろんなハナシをした気がする。。
<カズヤ達は?> なんとなく聞いてみた。聞いておかないとマズイ気がした。
<売店まで行ったよ、オナカすいたんだって>
屈託なくカズミが答える、額に少し汗をかいていて ショートの前髪を結んでいた。そーいえば 髪を切ったのもロクにホメてなかったなぁ。ちくしょ。
<。。。。ッ君はさぁ? 今フリーなんだっけ?>
<。。?ん そだよ。>
カズミの表情がさっきまでと違い 急に神妙になる。
<あのね?私 カズヤと別れたんだぁ。。>
カズミは 結んだ前髪を いじりながら ハナシにくそうに 言葉を続けた。
<いろいろあって?イロイロあんじゃん?若い男女なワケだしね?>
(<そりゃ 若いわ!>)と ツッコメる雰囲気ではなかったので カズミの次の言葉を待った、心臓が波打つのが自分で分かる。こう 背筋がムズかゆいような ハラから熱い空気が送られるような 変な感じがした。。
<。。。> カズミは次の言葉を言わなかった。
僕は冷静を装うことにした、
<。。。そうかぁ。いろいろあるわな> 。。。我ながら情けないほど無難なセリフだった。
次の言葉が見つからない。
(あれ?デートだろ?祭りだろ?カズヤは?)
ずげー短い時間 ほんの数秒の間に アタマの中身がフル回転する。
<私ね?この高校選んだ理由が二つあったの。一つは近いってこと。。もう一つは。。>
僕はそこまで聞いて固唾を飲んだ。。あん?何が起こってるか ついていかない!汗が一気に噴出した。きっとこのトキ 僕は 冷静のつもりでも 体温が38度を軽く超えていたに違いない。
<もう一つは、、、、制服がカワイイからでぇっす!♪>
カズミは見た事もないような笑顔を見せてくれた。今度はその裏の キンチョーにも似た 表情は見逃さなかった。
<、、、、バカ?>
。。。。これが口からでた 目一杯の 嬉しい気持ちとありがとうだった。。。
1年後。。。
<そーいえば そんな感じだったよね〜♪>
カズミは浴衣の袖に少し気をとられながら もう片方の手のリンゴ飴を一口かじった。
<でも バカはないっしょ?バカは、、☆>
<バッカ!必死だったんだよ!あれでも>
僕は団扇を振りながら 横に並んで歩くカズミに目をやった。 浴衣姿を見るのは初めてだった。
<あのアトさ カズヤに聞いたんだけど。あんトキ アイツ最初からそのつもりで買出し行ったらしいな>
<う〜ん カズヤには悪いことしたんだぁ。。★>
そう言うとカズミは またリンゴ飴を一口ほおばる。
<オマエ 食いすぎ!>僕が言った。
<まぁ イロイロあんじゃん?☆若い男女だし?こやって2度目の祭りにこれたんだし感謝 感謝♪>
<意味わかんねーよ!>
僕はカズミに 笑ってツッコミを入れ。。。この祭りの出入口にかかっていた 垂れ幕を見上げた。
<カズミぃーこの祭りって七夕って知ってた?>
<あのプールサイドで話したとき ミルキーウェイが アタマの上にあったの知ってた?>
。。。どうやら彼女の方が一枚ウワテだったみたいだ。。。
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