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2006/09/05(火)
9月アタマ大雨。前編。
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(9月アタマ大雨)
。。。その日は朝から雨だったのを良く覚えている。
カズミからの連絡が途絶えて3日。相変わらず俺はイラついていた。何かを取り戻すこともできずにいる自分も歯がゆかったし いろんな想いと考えは浮かんでは消えた。罪悪感 必要性 思い出。。そうか こんなにもだったのか。。身勝手にも的ハズレな感情は波のように押し寄せ 全てを振り払う様にリリックを書いた。
結局ユースケとはチームを組むことにした。MCが二人。 もう一人はクラブ仲間でジュンのバンドのボーカル ウメだ。 コイツはクオーターでアイルランド系アメリカの血が混じっている。ガイジン風なのにウメ。時々出る 育った環境の違いに日本人の血がうずくことがある。
今日もスタジオで練習だ。
<待った待った!1バース目にブレイク入れるから!>
<あん?んじゃココいらねーじゃん?>
ユースケとの打ち合わせかねた練習は楽しい。ウメの英語混じったリリックは俺に日本語の大切さと奥深さを目覚めさせる、つっても俺ほど言葉シラネーヤツがマイク持っていーのか? いーのだ。衝動と感情に素直が俺のイイとこだ。、、と勝手に思う。デフテックみたいでかっこいいじゃん?ん?チーム名まだ考えてねーぞ?まぁ いいか。
<んっじゃ もっかいいくぞー> ユースケがサンプラーを起動させる。
ドンドン パ ッ ドン。。キックの音が狭いスタジオに響く。 胸にかけたアクセの冷たさをふと感じながら ナナメに被ったキャップのツバを深くし 右手でマイクを持つ。左手はパフォーマンスとリズムとる為に変なクセがつきはじめた。マイク持って初めて分かる、難しさと音楽の楽しさに興奮していたのはホントだ。
。。。スタジオ後 ミーティングルームで3人で打ち合わせをした。仕切りはいつもユースケだ。ウメのアイディアセンスも的得終ていた。実はもう3曲でのクラブ出演が決まっていてチームは 大忙しだった、持ち時間15分、先輩の前座程度だが俺らにゃ充分な大舞台だ。
<タツヤ ここな?2番のフック、、> ユースケは俺がどんな形にしろ音楽に肩入れすんのが嬉しいみたいだった。
<えーマジかよ?んじゃ フックの最後キレちゃうじゃん?> ウメがデカイ体と10代にしちゃ風格あるヒゲズラで甲高い声を出す。
ふうー打ち合わせは一段落。ライブは10月アタマだ。 場所は<グレード4> 前々から通っているジモトのハコだが 俺にも深く関わりがあるハコだ。なんつってもカズミとよくアソンだ場所でもある。どんなコーコーセーだ?ドキふつーだぞ?
。。。<なぁ タツヤ?カズミと別れたのか?> 突然 ユースケが切り出す。カズヤからの情報だろう。 全く あのガキャ!中女のミカちゃんとウマクいってるからってよ!
<んーイタイとこ来るね?キミは。> 少しだけふざけてみたりする、内心はナイフで刺されたぐらいイタイぞ?
<まぁ?いろいろあんじゃんよ 恋ゴトはよ?。。>
<はは 確かに。。> ユースケには数年付き合ってる彼女もいて俺よりは経験ホーフらしいし、少しオトナに見える。
<んで謝ったのか?>
<コラコラ。ナンデ俺が悪いことになってんだ?> ウメもつられて笑ってやがる。そんなキブンじゃねーつーの!
<だってオマエの性格じゃん。また暴発してキズつけたんじゃねーのかぁ?オンナにゃ ちゃんと謝んなきゃダメよー?>
<他知ってんのかよ!、ほっとけ!> 優しいんだかなんだか、トラブルをとことん嫌うユースケらしい発言だ。
菓子をとっては口にほおぼりまたウメが笑っている。 <オマエ 笑いすぎだ バカ!>
煙草を右手に持ち替えてアタマをはたいてやった。こんバカ 人の気もしんねーで。
<さてと。。もう11時か 帰るか。。>そう言ってユースケが席を立とうとする。スタジオ内は楽器持ったコゾー達がまだ盛り上がってるが明日もガッコだしな?全くクラバーらしからぬ健全さだ。
俺は缶コーヒーを飲みほし、吸いかけのタバコを灰皿に押し付ける。。
<雨まだ降ってる?> <んん おお>
ウメが先にドアから外へ出る。。
<あれ?タツヤ アクセまた増えた?>
<ん?ああコレ? なんとなくね>
俺の首の小さめのLRGのアクセの他に シルバーチェーンの アクセがかかっていた。
。。。胸の前には指輪の形したピアスがついていた。。
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