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2007/03/04(日)
茨城に「新規参入」はあるか
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新年度が近づくと、茨城の路線バスへの「新規参入」の噂がちらほらと出てくる。 過当競争にさらされ、乗合事業で少しでも収入を増やしたいと考える観光バス会社や、我が町の 公共交通はこのままでいいのか、と危機感を抱く運送会社など、見る人によっては、現在の 茨城県という市場は魅力的に映るかもしれない。
例年なら、それは「ありそうでない」話だった。廃止路線の代替やコミュニティバスという 形で、地元の観光バス会社が運行を受け持つケースはあったものの、独自の新規路線で 参入したのは、2000年の昭和観光が最後である。 しかし今年は、いつになく「噂が噂で終わらない」雰囲気が漂っている。迎え撃つ既存の 各社が、必ずしも万全の態勢とは言えず、新規参入のスキが生じているからだ。
たとえば茨城交通は、私的整理が始まって以来、いまだ再浮上のきっかけをつかめていない。 湊鉄道線にしろ、去年の秋ごろまではまだ運行継続の意志があったように思うが、最近の 新聞記事をみると、そちらに目を向ける余裕さえなくしてしまったようだ。 この調子だと4月以降には、単なるダイヤ改正ではなく、もっと大きな事件が起こることも 危惧される。
一方、関東鉄道は、つくばエクスプレス開通後の減収分を取り戻すため、鉄道線の値上げ・ 増便という賭けに出た。京成から不動産畑出身の社長を迎えたり、高速バスの車体に「K'SEI」 のロゴを入れたり、京成電鉄との関係を強めたことで、まだ余裕があるようにも見えるが、 この積極策でも客足が思うように戻らなければ、シワ寄せは遅かれ早かれバス部門にくる。
茨城県は先日、公共交通活性化のための骨子案を公表した。県内の公共交通の衰退には、 さまざまな原因が考えられるが、既存の各社が地域独占の状態に甘えてサービスの向上を 怠ってきたことも、おそらくその一つかもしれない。 行政が活性化策と称して、あの手この手で既存の各社を助けるのも悪いことではないが、 新規参入を促して自律的なサービス競争を展開させることも、また活性化につながるのでは ないだろうか。 かといって、ニュー東豊(我孫子市)のような会社に、無謀なダイヤと運賃でドル箱路線を 荒らされるのも困りものだが。
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