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2017/05/06(土)
ヒカルの碁2次小説天空の破片 番外編
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ヒカルの碁2次小説天空の破片番外編
投稿の文字数が決まっていて前編、後編分けました。 後編短いですm(__)m 前編は5日のブログをご覧ください。
『予選のあと 後編』
テーブルの上には二人で食べ散らかしたお弁当の包み。
この数ヶ月分のいや君との距離を埋めるように 時間も忘れて対局していた。
気がつくと君は碁盤の前で眠そうにうつらうつらと眠りこけていた。 安心しきった君の寝顔にはまだどこか幼さが残っていた。
布団を敷いたほうが良いだろうと僕はその場を立ち上がった。 無防備な君に手を伸ばしてしまいそうな衝動に駆られどうかしてると首を振る。
窓を開けて少し頭を冷やしてから布団を取りに2階にあがった時 進藤が僕を呼ぶ声が聞こえたような気がした。
階段から慌てて駆け下りようとしたらただそこに立ちすくむ 進藤がいた。
「塔矢・・・」
確かにそうつぶやいた進藤の声は泣いてるんじゃないかと思うほど に震えていた。
「進藤何かあったのか?」
「な なんでもない・・」
何もなかったように取り繕ろおうとする君。 また僕の立ち入れないことなのだろうか。
いつも近づいたと思ったらこうだ。
「疲れたんだろう。こんな時間までつき合わせて悪かった。 今日はもう寝よう。」
僕はそういうしかなかった。
客間に布団を運びいれると進藤と目が合った。 それはほんの一瞬の事で、誤魔化されるように逸らされた。
お互い何もなかったように取り繕って、僕は布団を置くと後ろ髪ひかれながら部屋をでようとしたところで呼び止められた。
「塔矢、あのさ」
僕は君が呼び止めてくれるのを待っていたような気がした。
「オレがお前を追う限りオレと碁を打ってくれるか。お前のライバルだと認めてくれるか?」
普段の進藤がそんなことを言うとは思えなかった。
「当たり前だろう。君が望むなら僕はいつだって受けてたつよ。」
「そっか」
硬かった表情が和らぐ。 それが君の欲しい言葉だったのだろうと思うと少し安堵した。
「僕も 君に聞きたい事がある。」
また表情を硬くした君に心の中で 佐為のことじゃないっと言い訳して自分を誤魔化した。
「もう 2度と碁を辞めるなんて言わないか? 君の碁を否定しないか?」
大きく見開いた進藤の瞳は本当に泣き出してしまうんじゃないかと 思うほどに揺れていた。
「言わねえよ。」
「それを聞いて僕も安心したよ。 君を待ったかいがあったと思ってる。」
君の瞳に落とす影が胸を締めつける。
いっそこのまま君を抱きしめてしまえたらどんなにいいだろうと思うのに僕はその一歩を踏み出せない。 「塔矢 俺 いつかお前を追い越す。絶対 追い抜いてみせる。その時はさ、オレお前の事待っててやるからな」
「そういうことを言うのは僕を追い越してからにして欲しいな」
「確かにそうだよな」
でも嫌じゃなかったんだ。 それは君がずっと僕とこの道を歩いていくということだろう。
ひょっとすると僕も君も同じ事で悩んでいるのかも知れない。
君の傍にいたい気持ちを押しとめてようやく僕は部屋を退出した。
「おやすみ」とつぶやいて。
終わり
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