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2005/08/15(月)
なぞの老人@
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デタムの店でKhoa君と座ってたら俺の横の日本人のおじいちゃんが声をかけてくる。 1メートルくらい積み上げられてひもでくくられた英語の本を重そうに抱えて売り歩いてる女の子を指差して、 「あれは何ですかね?」 「本を売ってるんだと思いますよ。」 「そうですか。重たそうですね。私にはきっと持てないですよ。」 「はあ。。」何か用ですか?と聞きたいところやけど、 何か用があってもこっちとしては困るし、友達と飲んでる時にただの暇つぶし会話に付き合いたくもない。 そんな風に俺がこの会話の行方を心配し始めた時、彼はそれまで自分が読んでいた本を俺の目の前にパッと開く。 タイ語の辞書。白髪で、老人のイメージにピッタリとゆうか小さいレンズの眼鏡を鼻の下の方にかけて、 半分上目遣いでレンズを通さずに俺の顔を覗き込み、唐突に何か説明を始めるちょっと小太りのおじいちゃん。 「あなた達が好きな単語1つ選んで、 このカードで日本語の意味の部分を隠してタイ語だけが見えるようにしてください。 もし私がはずしたり、意味を答えれなかったらあなた達のビール代全部おごるよ。 あなた方に損はないし、どうかな?ただし1回だけですよ。」 明らか怪しい。 でも俺らに損はないわけやし、もし何かごちゃごちゃゆーてきても、 んなこた知ったこっちゃないで通せば済むし、 やりたい訳ではないけど、無視するのもかわいそうやし、 って感じの言わば好奇心と疑いとボランティア精神みたいな感情でやることにした。 そのカードってのはほんまにそのページの一単語だけが見えて、他は全部隠れるようになってるから、 上下のタイ語を見て意味を推測することは不可能で、 ほんまにその単語だけが手がかりって状況やった。 いくら単語をたくさん覚えたからって、 小さい文字で書かれた薄い辞書用の紙が厚さ10センチほどもある一冊の辞書を網羅するのはほぼ不可能。 まーこのゲーム自体は1回切りやし、訳のわからんじいちゃんの提案やし、 俺はちゃっちゃと単語を選んで済ませようと考えてた。 俺は「西瓜」を選び、Khoa君とそのことを確認しタイ語だけが見える状態でおじいちゃんに辞書を返した。 彼は眼鏡をはずし、ちょっと見にくそうに顔から適当に距離を作って本を持った。 一連のその動作は「うさんくさい」そのもので、 そこまで自信があるなら「西瓜」ぐらい一目見ただけで答えろよ、とか思いつつも黙って見守った。 ちょっと念力を入れるなどとおっしゃった彼は、 「はんにゃはらみーたー。。。。。。」とお経のようなものを5秒間唱え、 最後に「えぇーいっ!!!」を気合を入れた。 「これは西瓜かな?」はい、おつかれさんです! とは言わずに、「正解、すごいですね。」と言ったものの、 同じことをベト語でやっても、誰だって「西瓜」くらい念力なしで答えれる訳で、何らすごいことはない。 そのパフォーマンスは迫力あんねんけど。 「も、一回どうですか?ぜひもう一度。」と言うもんやから、 今度はKhoa君が俺の手から辞書を取り上げ、自分が選ぶって仕草を見せた。 Khoa君が選んだ単語は「悲しい」。 さっきと同じようにして辞書を返すと、「これはさっきより難しい。」とか言って、同じように念を使うおじいちゃん。 「えぇーい!」と言う気合とともに、答えを口にする。 「悲しい。ですか?」「そうです。お見事ですね。」 「今回のは難しかったなぁー。なんせ形がないモノですからな。ささ、も一回どうですか?」 つづく
メコン川流域の島 上陸したでーーーーー
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