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2005/08/17(水)
なぞの老人B
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老人は70歳無職。65歳まで大阪でタクシードライバー。 65歳まで外国語を勉強したことなんてなかったし、興味もなかった。 65歳の定年を迎えるとともに持て余す時間を英語の勉強に費やすようになる。 その勉強方法は一風変わってる。人間の五感を全て使う。 老人曰く第六感も使うらしけど。 大量の単語は全て頭で覚えてるってのとはちょっと違う。 一度インプットしたデータを頭の奥から引き出すのに似た作業らしい。
んで、その方法とは、まずマクドナルドに行く。 マクドのトレーに敷かれてる広告用の紙を30枚ほど持ってくる。 色鉛筆をそろえる。 自分はできる!と暗示をかける。絶対に覚えられる!って。 広告紙の裏の白い面に、色鉛筆を使って大きくゆっくりその単語を描く。 「西瓜」なら西瓜の絵を。「悲しい」なら悲しいことを表現する絵を。 あくまで自分の中のイメージやからどんな絵でもいいらしい。 絵を描きながら、頭の中でゆっくりイメージする。 その輪郭から、色、全体像を描いた絵をじっくり目に焼き付けて、頭の中にも描く。 と同時に、その単語を声に出して発音する。ゆっくり大きな声で。 日本語とその外国語を交互に。 最後にその紙を食べる。ほんまかいな。 集中してイメージできてたら実際にその果物の香りとか味がするんやと。
そーゆー風にして頭に焼き付けたイメージとしての単語は忘れへん。 忘れへんってゆーより、集中して思い出そうとしたらパッとでてくるねんて。 ネットが接続途中の画面から急につながって、パッときれいに表示される感じに似てるとか。 念を込めてたんは単に集中し易いからで、集中できるならどんな方法でもいい。
この老人すごいのはこの能力だけじゃない。 その説明をしたあとで、俺の前でいくつかの外国語を実際に喋った。 英語、イタ語、韓国語、スペイン語、ドイツ語。 そんときはまじでびびった。
でも、単語を覚えた(思い出せる)からって喋れるわけちゃうから、 その点を質問してみたら、中学校高校レベルの虎の巻系の参考書を買ってきて、 声に出して何百回って読んで、会話のフレーズごと覚えたんやと。
世の中いろんなすごい人がおるねんなーと思った。
定年退職してから、いきなり外国語を勉強するとか言い出して、 マクドナルドの紙の裏に絵描いて、 家の中ででっかい声で単語を読み始めた彼は、 頭がおかしくなったと思われて、家から追い出されたらしい。
今は宝石鑑定の資格を取りタイの鉱山に石の鑑定しに行くらしく、 その途中で旅行でベトナムに寄ったみたい。 宝石ならポケットに入れて持ち帰れるし、その価値は莫大ですから、って言うなぞの老人。 成功を祈ってます!
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