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2005/07/15(金)
結城紬について〜まことしやかな噂話〜
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結城紬に関して、「重要無形文化財」証紙が要件に満たされていない製品にも添付されていたと、大手マスコミが報道し、地元では対応に四苦八苦しています。
さて、この報道に関して地元で流れている「噂」を1つ。
この話は、やはり結城紬の製作に関わっていらっしゃるとある方からお聞きした話です。 その方がどこで話を知ったのかは知りませんけれど、私と違ってもう職人歴何十年のベテランの、地元出身の方です。 「重要無形文化財」の証紙が貼られる製品を作る一端を担っているという誇りを持ち、非常に結城紬を愛していらっしゃいまして、ちょうど2人でこの例の記事に関して話をしている時に、「噂だけれども・・・」と慎重に前置きして漏らされました。
突然、読売、朝日といった大手新聞に結城紬の生産者たちが詐欺行為を働いていると受け止められる記事が掲載されたことは、まさに地元の生産者達、卸売業者達にとっては晴天の霹靂であり、多くの関係者達の第一の感想は、 「どうして今更・・・」というものだったと思います。
重要無形文化財に指定されたのが昭和31年四月、知り合いの方々に話を聞くと、「すり込み」による反物は40年程前(ということは昭和40年頃)にはすでに当然のように生産されて、無形文化財の証紙を当然のように貼られていた模様です。
ですから、「どうして今更」という思いを誰もが抱いたわけですが、 突然マスコミが報道し始めたのは何故か。
どうやらそれは噂によると「内部告発」 があったためだそうな。 では誰が内部告発したのか。 私にその話をした方は名前までは教えて下さいませんでしたが、 組合の役員の方々や、ある程度顔の広い方達はどこの誰だかすっかり承知しているようです。
例え大手であっても小売業者達が、一歩間違うと虚偽表示や詐欺にあたるのではないかと疑えるような売り方で結城を売っていることは知られていますが、 地元で結城紬に関わる方にも、残念ながら中には正当なやり方スレスレに仕事をしている方がいらっしゃるわけです。
ただでさえ結城紬の売り方には問題がある場合が多いのに、そういう方々の行為が益々信用を落としかねません。どうやら結城紬の組合の方で、そういう方々を締め出したか、処罰したかしたようなのですね。 それで、その腹いせにマスコミに結城紬に打撃を与えるような情報を売った、と。 情報を売ったほうも、曲がりなりにも結城紬に関わっていらっしゃる方ですから、まさかこんなに大問題になるとは思わなかったのではないでしょうけれど。
結城紬の製品には検査がありますが、検査場でたまにとんでもない製品が引っかかったという話を聴きます。 絹でない糸が混合していたり、酷いものは国産ではない品とか。 そういう品を検査に出して、運良く検査に通ったならば売ってしまえ、という輩がいることは事実ですから、なかなか信憑性がある「噂」だと思います。
マスコミの方々が幾らでこの情報を買ったのか、情報を売った人物の氏素性をどう判断したのか知りませんけれど、仮にこの噂が本当なら、恨みを持つ対象を貶めたり、困らせてやろうという悪意に安易に便乗し、読者(視聴者)受けする
「悪徳生産者」と「被害者である消費者」
という、単純にして明快な構図をうまい事作り上げた商魂の見事さに感心します。
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