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2010/04/19(月)
「あわややや」
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「あわややや」叫びつづける患者あり四月一日当直の夜
「交通難所!?(その3)」で紹介した精神科のドクターの第一歌集「北の医局」の巻頭の歌である。
無機質なコンピューターの合成音のような声が響いてくる!! 患者の声が闇夜の奥から聞こえても心乱さず耳を澄ます。 命を預かるドクターとしての冷徹さ……。 圧倒されてしまった。
歌人の名前は菊野恒明氏。秋田市郊外の病院の勤務医となって約四半世紀。東京・府中では斉藤茂吉のゆかりの病院に13年間勤めていた。 短歌との出会いは単身赴任の無聊を慰めるため市立図書館から借りた歌集だったという。
慶大医学部卒の彼は現在、歌会始の選者で同窓の内科医・岡井隆氏の「未来」の同人。 岡井氏は歌集に「シニカルでもあり、またニヒリズムの人生観の匂ひのする人生観が、やわらかに、平明に、微量の毒を含んで歌はれて行く……」と跋を寄せている。
私が頂戴した歌集の裏表紙には、万年筆の几帳面な字で
妻のほか心ひかるる君も君も<我>の一部と思うたまゆら
と、書き込まれている。
数日前、「4月末で退職する」と、電話連絡をいただいた。
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