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2011/09/08(木)
565 屋根塗り
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秋ですね。空が高くなっている。 屋根のてっぺんの職人さんが、空に吸い込まれるように見える。
築百年以上の町屋の屋根塗りが始まった。下準備をしている職人さんが、塵取りいっぱいの黒い物体を「炭だ炭」と言った意味を直ちに理解で出来なかった。曰く、「コールタールの成分が固まったものだ」
「そうか、化石燃料からできたコールタールは炭に戻るか」などと、感心していたが、少々、塗り直しの間隔が長かったらしく、その分“炭”が多くて職人さん泣かせ。
手順としては、一番高い所から下りて来る。一人の職人さんは1番高い装飾的部分に取り掛かっている。地上の職人さんに「出っ張った飾りは何と言うの? 」。しばらく出てこない。「うだつとはちがうよね」 「うだつは横だ」…… 結局、思い出せないらしく、 「思い出したら教えて」と、取り繕うしかなかった。
10月くらいまでが適期だそうだ。塗料が伸びる夏の暑さがいいのは程度問題で、ついこの間のお寺さんの屋根塗りは大変だったそうだ。
想像するに「フライパンで煎られるマメ」。 足に水ぶくれができて、作業にならなかったそうだ。
コールタールの匂いは嫌いではない。昔はかなり頻繁に匂って来た。光景としては化粧直し。手を入れて長持ちさせるという知恵の現れで、カラスの濡れ羽色のように黒々と輝く屋根を見るのはうれしかった。
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