〜ing〜アメリカつれづれ日記
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2008/09/22(月) 音と言葉
家の中で、チロチロとこおろぎだか鈴虫だか、とにもかくにも秋の虫の声がする。どこからか迷い込んできたらしい。近くで、虫の声がするのは気持ちがいい。このチロチロという音を聞きながら、これは虫種のあいだでは、何かの言葉になっているのだろうか、という疑問がわいてきた。人間種には理解できないから、ただの音にすぎないが、虫のあいだでは意味を持つ言葉なのかも知れない。音が言葉になるのは、音の意味がその音を発生する生物のあいだで共有されるときである。つい最近、あるお母さんに、あなたの娘さんは耳が聞こえないかも知れない、みたいなことを言ってしまった。娘さんはもうすぐ2歳である。だが、父親の声を認識し、父親に向かってdaddyのdaの音を発することができない。母親に向かっても、mommyのmaの音が出ない。「娘はちゃんとしゃべってますよ、語彙も増えてきてますよ」と強気にでたがるお母さんが理解していないのは、音と言葉の違いだった。音が言葉になるのは、音が意味をもつときである。子供が空を見上げながら、daの音を発しても、それは言葉ではない。誰にも理解できない単なる雑音である。子供が発するdaの音が意味をなすことができる人間は世界でたった一人。2歳近くになってそれができないのは、何かがおかしいのである。私もそんな残酷なことは言いたくなかったが、今から長い長い人生が待っている小さな娘さんのことを思うと、人間関係を断ち切るつもりで、専門医のところへ連れていってあげてと言わざるを得なかった。人は、生まれ落ちたその瞬間から、いろんな音を聞きながら、親が話す言葉をそのまま受け取り、音をまねて、そして音が発せられる文脈の中で意味と音を一致させて理解し、そしてそのうち言葉として自らの口から発するようになる。ものすごく複雑な脳の働きである。私が20年前に大学院で勉強したころは、まだ人間の言語習得のメカニズムは解明されていないと聞いた。たぶん、今でも解明されてはいないのではないか。ただ最近、英語と日本語では、使われている脳の部位が違うと聞いた。そうだろうなあ。。日常生活で英語と日本語の比重が同じ感じになってくると、日本の中学校で英語を習いはじめた中年の人間でも、脳は英語と日本語のあいだで翻訳はしないなあ、というのが感覚的に感じられるようになってくる。英語の脳、日本語の脳、といった感じである。生まれたときから普通に二つの言語に触れて育つ小さい子供なら当然だろう。それなのに、町のアホなヤブ医者が、そのお母さんに、娘さんの言葉が遅いのは、dogと犬が同じものを指しているのを理解するのに時間がかかっている、みたいなド素人なことを言ったらしいのである。あああ、罪つくりな野郎だ。小児科医が言語習得理論など勉強しているわけないだろ、知らないくせに、ええかっこして嘘言うな。。おとなしくしてればいいのに。。。これだから、医者といった権威を振り回したがる人間、権威と見ればすぐに頭を下げたがる人間は嫌いだ。。(笑)無音の世界ってどんな世界だろうか。それは、世界が何の意味ももっていない世界なのではないか。小さな娘さんの目には、口をぱくぱくして手を振る中年のおばさんの顔は見えても、音がないから、口ぱくぱくの意味は存在しない。もちろん音をまねることもできない。だから彼女にしてみれば、手を振り返す理由も見あたらない。そうして、「バイバイ」というコミュニケーションは成立しない。人間世界の意味は音、それも社会の成員間で理解される言葉で成立しているのだ。。無音の世界を想像することで、改めて納得する「言葉」というものの存在意義ーこれって、聖書とやらが言っているらしい「はじめに言葉ありき」につながっているのだろうか。どうか、あの娘さんが一日でも早く精密検査を受けて、万が一の最悪の場合は、一日でも早く訓練を始めて、脳が音を認識し、言葉を理解し、そして娘さん自身が言葉を話せるようになりますように。
追伸:読み返してみて、ふっと思った。日本語では、虫の声と呼ぶんだったな、と思い出したのである。何も考えずに、虫の音と書いた。ああ、いよいよ日本語世界からもはじきだされそう。。(悲)調べてみた。なんと人間は、母親の胎内にいる4週間目ぐらいから、聴力の神経をでき始める(むずかしい専門用語は分からず。。笑)そうである。だから、生まれたときから、母親の声は識別できるそうな。すごいなあ。。そういえば、娘は、生まれて二日目、声をかけると、大きな目をしっかりと見開いて、私の顔をじっと見つめ続けた。あまりにもかわいいので、親ばかで写真をとった。近づけてとったものだから、ぼけた写真だ。(笑)となると、あの娘さん、万が一のことがあって補聴器でも使うことになったりしたら、生命の始まりから初めて聞く音ということになるの??? おお、人間というもの。。。怖い。でもとてつもなく複雑かつすばらしい。クローン人間を作りたくなる科学者の気持ちが、やっと理解できるような気がする。


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