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2023/05/20(土)
限界
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とはこういうものか、と思った。１週間ものあいだ、猛烈なかゆみに我慢してきたが、それがストレスになっているのは明らかである。気持ちを和らげるために、何かおいしいものはないか、とずっと思っているけれど、あるはずもない。毎日行くスーパーに何があるか、ようくわかっている。とうとう朝からごはんを炊いた。こんなことは、３０年を超えるアメリカ生活で初めてのことである。おかずは、残っていたかつおぶし一袋。ああ、日本人だな、と思う。かつおぶしとごはんで気持ちがなごむのである。コレステロールやら糖分やらとやいのやいの言われて、がんばってオートミールをできるだけ食べようとしたが、こんな具合に気持ちが落ち込んでくると、誰がオートミールなんか食べられるか、って感じ。午後は、また何かおいしいものはないか、と探して、結局はスーパーで、カップヌードルを買ってきた。食べても、空腹感が収まるというわけではないけれど、身体は、精神は何かを求めている。何か、はわからない。だからカップヌードル。限界に達しているような気がする。プールに泳ぎに行ったが、泳ぐ気にすらなれず、５０メートルほどばた足をやって、プールからあがってしまった。こんなこと初めてである。帰り途、自殺したくなるときはこんなときかな、とか、ふっと車を運転しながら思った。死ぬなんて簡単かも。一瞬のことだ。アクセル踏んで、スピードをあげて、木に思いっきり車をぶつければいいだけなのでは。人生に落とし前をつけねば、とかゆみに耐えながら考えていると、このざまである。どうせえ言うねん。人間、やっぱり先に何か希望を見出せねば生きていけない、ということだろうか。また知った名前の訃報を見つけた。ヘルムート・バーガーが亡くなったと。ぎゃああああ。ああ、なんと懐かしい名前か。ルキノ・ビスコンティの映画で見て、きゃあきゃあ騒いでいたのは５０年前の高校生のとき。ヘルムート・バーガーは２０代前半の美形のとき。ビスコンティ以外に、彼を使う監督がいたとは聞いたことがないが、なんで訃報がニュースになるのか。ビスコンティに”愛された”ということ以外に、人気俳優だったというわけでもないだろうに。すごく不思議な気分。年齢もおんなじような年だったんだね、と今頃気づいた。（笑）あああああ、早くこのスランプから抜け出せますように。早くかゆみから解放されますように。何か面白いこと、楽しいことが起きますように。（笑悲）
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